最終更新日:2026年4月16日
「7〜8時間は寝ているのに、朝起きると体が重い」と感じたことはないでしょうか。その原因の一つとして考えられるのが、レム睡眠の不足です。睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、どちらか一方が乱れると、たとえ十分な睡眠時間を確保していても疲れが取れない状態に陥りやすくなります。特に40〜50代以降は加齢や自律神経の変化によってレム睡眠が減りやすく、気づかないまま慢性的な疲労を抱えるケースが少なくありません。
この記事では、レム睡眠が少なくなる原因・放置した場合のリスク・今日から実践できる改善方法まで順を追って解説します。
目次
Toggleそもそもレム睡眠とは?ノンレム睡眠との違いと正常な割合

レム睡眠とノンレム睡眠にはそれぞれ異なる役割があります。どちらか一方が乱れるだけで、十分な睡眠回復は望めなくなるのです。
レム睡眠とノンレム睡眠の違いと役割
レム睡眠とは、”Rapid Eye Movement(急速眼球運動)”の頭文字をとった睡眠段階で、眠っている間に眼球が素早く動くのが特徴です。脳は覚醒時に近い状態で活発に活動しており、体の筋肉は完全に脱力しています。一方、ノンレム睡眠は脳も体も休息する状態で、深さによって浅い眠り(N1)・中程度の眠り(N2)・深い眠り(N3)の3段階に分かれます。よく「レム睡眠は浅い眠り」と言われますが、実際には覚醒に必要な刺激の強さで測ると、ノンレム睡眠と同様に深い段階であるとも考えられています。
▼レム睡眠とノンレム睡眠の比較
| 項目 | レム睡眠 | ノンレム睡眠 |
| 脳の状態 | 活発(覚醒時に近い) | 休息・低活動 |
| 体の状態 | 筋肉が脱力 | 比較的リラックス |
| 主な役割 | 記憶の整理・感情の調整・体の修復 | 脳と体の疲労回復・成長ホルモンの分泌 |
| 夢 | 見やすい | ほぼ見ない |
| 自律神経 | 交感神経が活発 | 副交感神経が優位 |
一晩の睡眠サイクルとレム睡眠の出現パターン
眠りにつくと、まずノンレム睡眠から始まり、深い眠り(N3)に一気に移行します。その後、約90〜110分が経過するとレム睡眠に切り替わり、この「ノンレム→レム」のセットが一晩に4〜6回繰り返されます。睡眠の前半はノンレム睡眠の割合が多く、後半になるほどレム睡眠が長くなるのが正常なパターン。成人の場合、レム睡眠は全睡眠時間の約20〜25%を占めるとされており、これが大幅に少ない状態が続くと、体と脳の回復が不完全なまま朝を迎えることになります。
※出典:国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明」https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20210901.html
レム睡眠が減少する主な原因とは

レム睡眠が減る背景には、アルコール・加齢・睡眠環境など、単一の原因ではなく複数の要因が重なっていることがほとんどです。
自律神経の乱れがレム睡眠を妨げるメカニズム
レム睡眠と自律神経は密接に関わっています。通常、就寝時には副交感神経が優位になることで体がリラックス状態に入り、スムーズに深いノンレム睡眠へ移行します。ところが、日中のストレスや夜遅くまでのスマートフォン使用で交感神経が優位なまま就寝すると、ノンレム睡眠が浅くなり、後続するレム睡眠のサイクルも乱れてしまいます。自律神経の切り替えがうまくいかないと睡眠全体の質が低下し、翌朝の疲労感や集中力の低下につながりやすくなります。
※出典:Koo DL, et al.「Autonomic Dysfunction in Sleep Disorders: From Neurobiological Basis to Potential Therapeutic Approaches」Journal of Clinical Neurology, 2022.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8926769/
アルコール・カフェイン・スマホがレム睡眠に与える影響
日常的な習慣の中にも、レム睡眠を妨げる要因が潜んでいます。なかでもアルコール・カフェイン・就寝前のスマートフォンは、どれも一見睡眠と無関係に思われながら、睡眠サイクルへの影響が大きい点として注目されています。心当たりがある方は、以下を参考に見直してみましょう。
▼レム睡眠を乱す生活習慣
- アルコール:寝つきをよくする一方で、代謝の過程で夜中に目が覚める(中途覚醒)現象を引き起こし、後半のレム睡眠が減少する傾向がある
- カフェイン:摂取後約5〜6時間は覚醒作用が持続するため、就寝前の摂取が入眠の妨げになり睡眠サイクル全体を乱す
- 就寝前のスマートフォン:ブルーライトが脳を覚醒状態に保ち、交感神経の緊張が続くことでノンレム睡眠への移行が遅れる
加齢・ストレスによるレム睡眠の減少
レム睡眠の割合は年齢とともに自然に低下します。新生児では睡眠時間全体の約50%を占めるレム睡眠も、高齢者では約10%前後にまで落ち込むことが報告されています。40〜50代以降は加齢に伴うホルモンバランスの変化や自律神経の切り替え機能の低下が重なり、睡眠サイクルが乱れやすくなります。慢性的なストレスも同様で、就寝後も脳が休まらない状態が続くと、レム睡眠の出現タイミングが遅れたり時間が短くなったりする傾向があります。
※出典:京都大学総合研究推進本部「レム睡眠の役割の解明を通して脳の謎に迫る」(note掲載)https://note.com/kyotou_research/n/n44de8d3efb5f
睡眠環境の乱れ(枕・温度・騒音)が引き起こすサイクル異常
睡眠環境の問題も、レム睡眠の減少に直結します。枕の高さが合っていないと首や気道への負担から呼吸が浅くなり、睡眠サイクルの途中で覚醒が起きやすくなります。寝室の温度については、夏季は25〜26℃・冬季は18℃前後・湿度50〜60%が快眠の目安とされており、これを外れると体温調節に余分なエネルギーが使われ、深いノンレム睡眠に入りにくくなります。騒音による中途覚醒も、後半に集中するレム睡眠を分断する原因の一つです。睡眠環境は一度整えれば継続的に効果が得られやすいため、改善の優先度が高い要素といえます。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
レム睡眠が少ないとどうなる?放置するリスク

レム睡眠の不足は「眠いだけ」の問題ではありません。脳の機能・自律神経・長期的な健康リスクまで、複数の面に影響を及ぼします。
脳の疲労回復が不完全になり記憶・集中力が低下する
レム睡眠中は大脳皮質の細かい血管への血流が大幅に増加し、老廃物の排出や栄養の補給が活発に行われることが研究で明らかになっています。この働きによって日中の活動で蓄積した脳内の老廃物が除去され、記憶の整理・定着が促されます。レム睡眠が不足すると、この脳のリフレッシュ機能が十分に働かず、翌日の集中力や判断力の低下・物忘れの増加として現れやすくなります。また、感情の処理を担う扁桃体はレム睡眠中に活発に働くことで日中のストレスや感情的な記憶を整理しているため、不足するとイライラや気分の落ち込みにも影響します。
※出典:国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明」https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20210901.html
自律神経の調整力が落ち心身の不調が慢性化する
レム睡眠には、日中の自律神経の調節能力を鍛える役割があるとされています。適切にレム睡眠が確保されることで交感神経と副交感神経のバランスが整い、日中の体調や精神状態が安定しやすくなります。反対に、レム睡眠の不足が続くと自律神経の乱れが慢性化し、次のような不調が出やすくなります。
▼レム睡眠不足による主な症状
- 日中の強い眠気・倦怠感:睡眠時間を確保していても疲労感が抜けない
- 感情のコントロールの乱れ:些細なことでイライラしたり、気分が落ち込みやすくなる
- 免疫力の低下:風邪をひきやすくなるなど、体の抵抗力が落ちる
- 集中力・作業効率の低下:判断力が鈍り、仕事や日常のパフォーマンスが下がる
レム睡眠不足と長期的な認知症リスクとの関連
レム睡眠の不足が長期間続くと、より深刻なリスクにつながる可能性があります。60歳以上の地域住民を対象とした、約12年間の追跡調査では、レム睡眠が少ない人ほど認知症との関連が示唆されています。ノンレム睡眠には同様の傾向が見られなかったことも報告されており、レム睡眠ならではのリスクとして見逃せない点です。こうした機能が損なわれ続けることで認知機能の低下が少しずつ積み重なると考えられており、加齢による自然な変化だと思い放置するほどリスクが高まりやすい点には注意が必要です。
※出典:Pase MP, et al.「Sleep architecture and the risk of incident dementia in the community」Neurology 2017;89(12):1244-1250.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28835407/
レム睡眠を増やすための生活習慣

レム睡眠の減少は加齢だけが原因ではなく、生活習慣や睡眠環境の見直しによって睡眠サイクルを整えられる余地があります。取り組みやすいものから順に実践してみましょう。
就寝前に自律神経を整える生活習慣
交感神経が高ぶったまま眠ろうとしても深いノンレム睡眠に移行しにくく、後続するレム睡眠の質も下がりやすいもの。そのため、就寝前に副交感神経を優位にして体をリラックス状態に導くことが先決です。以下の習慣を就寝の1〜2時間前から取り入れると、自律神経の切り替えがスムーズになりやすくなります。
▼就寝前に取り入れたい習慣
- ぬるめのお湯(38〜40℃)での入浴:深部体温が一時的に上昇し、その後の体温低下とともに自然な眠気が促される
- 軽いストレッチ・深呼吸:筋肉の緊張をほぐし、副交感神経へのスイッチを促す
- スマートフォン・PCの使用をやめる:就寝60〜90分前にはブルーライトの刺激をカットする
- 照明を暗くする:明るい光は脳を覚醒状態に保つため、間接照明などに切り替える
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
アルコール・カフェインの摂取を見直す
レム睡眠を妨げる代表的な物質が、アルコールとカフェインです。「お酒を飲むとよく眠れる」と感じる方も多いですが、アルコールには睡眠の後半に集中するレム睡眠を大幅に減らす作用が知られています。摂取のルールを決めることが睡眠の質を守る近道です。
▼摂取ルールの目安
| 物質 | 影響 | 見直しの目安 |
| アルコール | 後半のレム睡眠を減少・中途覚醒を増加させる | 就寝3時間前までに飲み終える・休肝日を設ける |
| カフェイン | 覚醒作用が約4〜6時間持続し入眠・サイクルを乱す | 午後14〜15時以降はカフェインを避ける |
睡眠リズムを固定して体内時計を整える
体内時計が乱れると、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えタイミングがずれ、睡眠サイクル全体が不安定になります。休日に平日と大きく異なる時間に起床する「社会的時差ぼけ」もその一因です。改善の基本は毎日同じ時刻に起床すること。休日も平日との差を1時間以内に収めることが目安とされており、これを守るだけで乱れが徐々に整ってきます。
また、起床後すぐに朝日を浴びると体内時計がリセットされ、夜の入眠タイミングも自然に整いやすくなります。夜更かしを繰り返すほど体内時計のずれが蓄積するため、就寝・起床リズムの固定は長期的な改善に欠かせない取り組みの一つです。
睡眠環境(枕・温度・光)を整える
どれだけ生活習慣を整えても、睡眠環境が体に合っていなければ十分な効果は得られません。特に枕は頭・首・気道の状態に直接影響し、合わないものを使い続けると呼吸が浅くなったり、寝返りが妨げられたりして睡眠サイクルが乱れやすくなります。
近年では、DENBA技術を搭載した枕「DENBA Sleep」のように、360°の電場空間で体内の自律神経の働きを後押しする方法として注目されており、東京大学との共同研究でその効果が確認されています。快眠のための環境整備として、以下の点を確認してみましょう。
▼睡眠環境の整備ポイント
- 枕の高さ・硬さ:首のカーブを自然に保ち、気道が確保できるものを選ぶ
- 室温:夏季25〜26℃・冬季18℃前後、湿度50〜60%を目安にする
- 光:遮光カーテンで就寝中の光漏れをなくし、朝は自然光で目覚められる環境にする
- 騒音対策:気になる場合は耳栓やホワイトノイズの活用も選択肢の一つ
※出典:厚生労働省「e-ヘルスネット 快眠と生活習慣」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
※出典:DENBA Health「DENBA Sleep」
https://denba.co.jp/denbahealth/denba-sleep/
よくある質問|レム睡眠が少ない原因・状態改善に関するQ&A
レム睡眠が少ないか自分で確認する方法はありますか?
最も手軽な方法は、スマートウォッチや睡眠トラッキングアプリを使う方法です。多くのウェアラブルデバイスが心拍数や体の動きをもとにレム睡眠・ノンレム睡眠の割合を自動計測しており、継続的に記録することで自分の睡眠パターンの傾向がつかめます。ただし、これらはあくまで推定値であり、医療機器ではありません。
より正確に把握したい場合は、睡眠中の脳波・呼吸・体の動きを一晩中記録する検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)を受けるのが確実な方法。脳波・眼球運動・呼吸などを総合的に計測した、精度の高いデータを得ることができます。
レム睡眠が少ない状態はどれくらいで状態が整いますか?
個人差があるため一概にはいえませんが、生活習慣の見直し(就寝前のスマートフォン使用をやめる・アルコールを控えるなど)を継続した場合、睡眠サイクルの乱れが徐々に落ち着いてくることが多いとされています。
一方、加齢や慢性的なストレスが原因の場合は、睡眠環境の整備や自律神経ケアを組み合わせた継続的な取り組みが必要になります。「1週間試したが変わらない」と諦めず、複数の対策を組み合わせながら少なくとも1か月は継続して様子を見るのが現実的な目安といえるでしょう。
病院を受診した方がよいケースはありますか?
以下のような症状が続く場合は、生活習慣の改善だけでは対処が難しいケースも考えられるため、睡眠専門外来や内科・神経内科への相談を検討しましょう。特に下記の項目に複数当てはまる場合は、セルフケアと並行して受診を優先することをおすすめします。
▼受診を検討したい症状の目安
- 2週間以上、毎日のように寝ても疲れが取れない状態が続いている
- 睡眠中に大きないびき・呼吸の停止が指摘されたことがある(睡眠時無呼吸症候群の疑い)
- 夢に反応して体が動く・大声を出すことがある(レム睡眠行動障害の疑い)
- 強い日中の眠気で日常生活や仕事に支障が出ている
まとめ|レム睡眠は今日の習慣から整えられる
レム睡眠の不足は、慢性的な疲労感や集中力の低下だけでなく、長期的には認知機能への影響も懸念されます。
▼この記事のまとめ
- レム睡眠は記憶の整理・感情の調整・体の修復を担い、全睡眠時間の約20〜25%が正常な目安
- 自律神経の乱れ・アルコール・カフェイン・加齢・睡眠環境の問題が主な減少原因
- 不足が続くと記憶力・集中力の低下・自律神経の乱れ・認知症リスクの上昇につながる
- 就寝前の習慣・摂取物の見直し・睡眠リズムの固定・睡眠環境の整備が基本の見直し策
この記事で解説してきた見直し策の多くは、生活習慣の変化で取り組めるものですが、毎晩使い続ける「枕」という睡眠環境そのものに目を向けると、より根本的なところから睡眠環境を見直すことができます。
枕は睡眠中ずっと体に影響し続ける要素であり、首・気道・自律神経の状態に直結します。合わない枕を使い続けることで呼吸が浅くなり、睡眠サイクルが乱れるリスクは見落とされがちです。前述の「DENBA Sleep」のように、自律神経を寝ながら整えられる方法も選択肢の一つです。睡眠環境の見直しを検討している方は、ぜひ詳細をご確認ください。